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お知らせ 慢性腎臓病治療の最新情報

腎臓の状態を知って早期発見、早期治療

慢性腎臓病は初期の段階では自覚症状がほとんどありません。そのため、異常に気づかず放置しがちです。しかし慢性腎臓病になると心筋梗塞や心不全、脳卒中といった重大な病気を引き起こしやすくなります。また、腎機能の低下が進行し腎不全という状態になり、さらに悪化して未期腎不全になると、透析療法や腎移植が必要になります。
こうした事態を避けるには、自分の腎臓がどのような状態にあるか、日ごろから知っておくことが大切です。健康診断などの結果を受け取ったら、尿検査項目にある「尿たんぱく」の有無や血液検査項目にある「血清クレアチニン」「eGFR」などの数値を確認しましょう。 異常と指摘された場合には、必ず医療機関を受診してください。

たんぱく質摂取量の制限が緩和されることも

基本的な治療は、たんぱく質の摂取量を制限することです。たんぱく質を摂りすぎると、腎臓で濾過する老廃物が多くなって腎臓への負担が増え、病気の進行につながるからです。ただし、高齢者がたんぱく質の摂取を制限すると、筋肉量が減ってサルコペニア※を起こしやすくなります。また、慢性腎臓病とサルコペニアを合併していると心筋梗塞や脳卒中などのリスクがより高くなることが明らかになってきました。そこで高齢者など筋肉量が少ない人の場合、たんぱ <質の摂取量制限を緩和することがあります。
かつては、慢性腎臓病の人は安静が第一といわれていました。理由の一つは運動後に尿たんぱくが増えやすいからです。しかし現在では、尿たんぱくの増加は一時的なものであり、ウォーキングなどの適度な運動は腎機能の低下を抑え、脳卒中などの合併症の予防になることがわかり、むしろ推奨されています。
薬物療法に関しても、2021年に新薬が登場しました。これまでの薬は腎臓病の悪化の要因となる高血圧などに対するものが中心でしたが、新薬は腎臓機能の低下そのものを抑える薬なので、治療の選択肢が増えています。 ※筋肉量の減少に伴って筋力や身体機能が低下している状態。転倒や寝たきりの原因となる。

食事や運動の管理を体験できる教育入院

食事や運動の管理を体験できる教育入院 食事や運動を管理するのは患者さん自身です。しかし、その継続は容易ではないことから、1週間程度の教育入院を行う医療機関が増えています。入院期間中は、医師や看護師、管理栄養士、薬剤師、理学療法士などによる指導が行われます。教育入院には、慢性腎臓病の進行の長期抑制、透析導入までの期間延長などの効果があることが報告されています。
慢性腎臓病の治療法は大きく変わりつつあります。わからないことがある場合は薬局の薬剤師に気軽にご相談ください。